ねじ部品の加工及び形状
1)ねじ部品の加工方法
ねじ部品頭部の加工方法は大別して4つに分かれます。
@冷間圧造加工
線材よりコールドヘッダー(頭部成形機)その他の冷間鍛造機械等により、ボルト・ナット類のブランクを常温で塑
性加工によって作ることを冷間加工、冷間鍛造ともいう。切削加工や熱間鍛造加工、温間加工に比較して、
塑性加工のため材料ロスも少なく生産性も高い。又超硬合金などを使用したダイス・パンチなどの金型によって
圧造成形するので精度的にも均一な製品を作ることができるため最も普及しています。
イ) ヘッダー (頭部成形加工機械)
・シングルヘッダー:パンチは1個で1度打つたびに1個の製品ができる。
・ダブルヘッダー:パンチは2個で2個のパンチを交互に作動させ1個の製品を作る。
・2ダイ2ブローヘッダー:2個のダイスと2個のパンチをもち、1回転で1個の製品を作る。
・2ダイ3ブローヘッダー:2個のダイスと3個のパンチをもち、成形加工するチャンスが3回ある。
・多段ヘッダー:ダイスとパンチを夫々多数(3〜5個が主)備えている(パーツホーマ)
・ボルトメーカー:線材より1台の機械で完全なボルトを製造することができ、ボルトの量産用に使用されます。
ロ) トリミングマシン
ヘッダーで圧造加工したボルトブランクの頭部を自動的に六角又は四角に打抜き加工する。
ハ) ねじ転造盤
金属の可塑性を利用して、2個又は数個の組み合わせからなる転造ダイスの間でねじブランクを転がしながら
ねじ山を塑性加工する方法。平ダイス式、丸ダイス式、ロータリー式、差速式転造盤と4種類に分かれます。
A熱間鍛造加工
加熱した材料を加工する方法で、所定の寸法に切断し、加熱炉で加熱した後に(再結晶温度450℃以上)「フ
リクションプレス」「ムトン」「熱間油圧プレス」等の鍛造機械で塑性加工により成形する。熱間圧造、高温圧造と
もいう。
B温間圧造加工
連続自動加熱装置によって、材料を再結晶温度以下の中問温度(200〜300℃)に加熱することにより塑性加
工性を高める方法です。SUS304等のステンレスボルト・ナットの非磁性維持・工具消耗減・加工硬化防止のた
めに「ヘッダー」「ナットホーマ」で圧造する直前に「電気抵抗加熱機」で瞬間加熱し製作します。
C切削加工
自動盤、ターレット旋盤、ロクロなどを使用し、棒鋼より切削加工する方法です。近年はNC旋盤でプログラム制
御による自動切削が普及しています。部品の形状、金型、精度、数量などの点で冷間加工が困難、又は採算
上不利な場合に利用される。挽き出し、削り出しともいう。
ブランク :材料から切削又は塑性加工したねじのない中間成品。
塑性加工:材料に適当な方向と大きさの外力を加えて、その可塑性を利用して切り屑を出さないで、形を変形させる
ことをいう。(切削加工に対する用語)
加工硬化:加工をうけて変形すると硬くなり強くなる性質をいう。大部分の金属材料は常温では加工硬化する性質を
もっている。
再結晶:塑成加工を受けた金属を適当な温度に加工した時、加工によってゆがんだ結晶の中に新しい歪みのない
結晶が生まれ、次第に発達すると同時にその数を増し、全体が新しい結晶と交替し、加工前の状態に
復する。これを再結晶という。
2) 頭部形状の種類
3) ねじ先の種類
4) 主なねじ山の形状・形式
@三角ねじ
ねじ山の形が正三角形に近いねじの総称で締結用ねじとしてボルト・ナット・小ねじ
に用いられるのは、ほとんどが三角ねじです。
イ) メートル並目ねじ・メートル細目ねじ
フランス、ドイツなどで一般用ねじとして発達してきたねじで、直径及びピッチを
ミリメートルで表したねじ山の角度60°の三角ねじ。
メートル並目ねじ(JIS B 0205参照)・メートル細目ねじ(JIS
B 0207参照)
口) ユニファイ並目ねじ(unitied coarse thread series,UNC-thread)
アメリカ・イギリス・カナダの3国が軍事上の必要から協定してできたねじで、ねじ山の角度が60°の並目の
インチねじ(JIS B 0206参照)で、ピッチを1インチ当りのねじ山数で表す。
ハ) ユニファイ細目ねじ(unitied fine thread series,UNF一thread)
基準山形は、ユニファイ並目ねじと同じで、ピッチが細かいねじ(JIS B 0208参照)。
二) ウィット並目ねじ
イギリスのJoseph Whit worthが提案した表を基礎においたもので、ねじ山の角度が55°の並目のインチね
じ。ウイットウォースねじともいう。(JISでは廃止されている)
ホ) ミニチュアねじ
時計、光学機器、電気機器、計測器などに用いる呼び径の小さい、ねじ山の角度が60°のねじ。
(JIS B 0201参照)
へ) 管用ねじ
管、管用部品、流体機器などの接続に用いるねじで、平行ねじ(JIS B 0202参照)とテーパねじ
(JIS B 02C3参照)がある。
ト) 用途に応じて自転車ねじ(JIS B0 225参照)、ミシン用ねじ(JIS B 0226参照)、油井管用ねじ(JIS B
3439参照)、その他写真機用ねじ、測量機用ねじ、細密用ねじ(時計ねじ)等24種類の特殊用シリーズが
規定されている。
◆ねじ山の基本名称
◆ ねじは、通常一条ですが、これが、二条や三条のねじもあり、左ねじ、右ねじ、木ねじやタッピンねじのように谷の
広いねじもあります。
ピッチ : 軸線に平行に測った隣りのねじ山までの距離です。
有効径 : ねじみぞの幅とねじ山の幅と等しくなるような仮想の円筒の直径です。
平行ねじ : ねじ山が円筒径の外面又は内面にあるねじ。
テーパねじ : ねじ山が円すいの外面又は内面にあるねじ。
一条ねじ : リードがピッチに等しいねじ(一口ねじともいう)
二条ねじ : リードがピッチの2倍に等しいねじ(二口ねじともいう)
5) 主な管用ねじの種類
管用ねじの種類
英式と米式の二種類に大別できる、ともにインチ方式でテーパねじと平行ねじの組合せとなっており、おねじ・めねじと
もにテーパ、または平行の場合とテーパおねじに平行めねじを用いる場合とがある。
英式のねじ山角度はウイットねじ系列と同様に55°となっており、JISではPT、PS、PFが規格として定められISO規
格も含め国際的によく普及している。
米式は頭にNのつくものすべてこれに属するねじ山角度は、ユニファイねじ系列と同様に60°となっている。これら米式
はJISやISOに採用される動きはなく、米式管用ねじとして各用途別に多種類のものが関係方面で使用されている。
メートル方式は西ドイツが1954年DIN158にきめたもので、基準径とピッチがメートル寸法になっているが、まだ一般に
は普及していない。