アンカーの正しい使用法と注意事項
(あと施工アンカー類)
1)金属拡張アンカー・接着系アンカー・その他のアンカー
取り付け部分の形状・材質・取り付け場所・荷重・取り付ける相手の強度・安全率などを充分に検討の上、使用目的
に適したアンカーを決定して下さい。
一般にボルトの強度よりコンクリート強度が弱いので、コンクリート取り付け部の強度にご注意下さい。又、アンカーには種
類が多く、施工方法も商品によって異なります。取扱説明書で指示通りの施工方法・条件で施工手順を充分理解し
又、安全に関する注意事項等を確認の上正しく御使用下さい。
【注意】
@石膏・コンクリート片が飛散し失明などの危険がありますのでヘルメット・安全眼鏡・安全靴等の安全保護具を必ず着用し
作業を行って下さい。
Aカタログの引張り強度は破壊強度(最大強度)なので、実際に使用する場合には、安全率を充分に取っで下さい。
B安全率は取り付け位置(壁面・天井面)静、動(振動)のある場所により大きく異なります。
Cモルタル部、タイル部などの仕上げ部分は、埋め込み深さとは認められませんので、その分深く埋め込む必要があります。
D母材の端付近(ヘリ)での使用は穿孔深さの引抜力が作用する時は2倍以上、せん断力が作用する時は3倍以上又、
アンカー と アンカーの間(ピッチ)が穿孔深さの2倍以上、コンクリートの厚さ穿孔深さのプラス50mm以上で御使用ください。
それ以下の場合はアンカーの強度が値下します。又、母材の破損にご注意下さい。
Eドリル等電動工具の回転・打撃の強弱によって、下穴が変形する場合がありますので、ご注意ください。
Fドリル径をまちがえると充分な強度が出ません。必ず下穴径・下穴深さは指定寸法を守って下さい。コンクリート強度、
状態により穴あけ径・穴あけ深さを適正にあげて下さい。
G下穴は取り付け面に対して直角になるように又、下穴の切粉は必ず除去して下さい。アンカー強度が低下します。
H打ち込み棒を使用して施工するアンカーには、指定の打ち込み棒を御使用下さい。
Iアンカーは締上げて使用して下さい。打ち込みの際、いく分深めにセットし、ナットを充分締め付け、固着部を孔壁面に
水平になじませる方法をアンカーの締上げといいます。
Jめねじアンカーを使用する場合は、使用ボルトのねじ込み長さ(はめあい長さ)はアンカーねじ部長さの80%の長さを確保し
て下さい。
K所定の施行方法で確実にアンカーをセットし、施工完了後取り付け物の確認を必ずしてください。
L接着系アンカー(樹脂カプセル)については、弊社までお問い合わせ下さい。
2) アンカーの強度(金属拡張アンカー)
強度には、荷重の方向により、引張強度、せん断強度、曲げ強度、等があり、また荷重のかかり方によっても静的荷重、
疲労荷重、耐衝撃荷重、等があります。
一般的には、各メーカー一のアンカー引抜強度の1/3又は1/4の安全率を計算して適当なアンカーを選定する方法が取
られています。又母材のコンクリート等の強度にバラツキが多くまた、施工は人が行うので、施工の仕方により 一定せずア
ンカーの強度に大きく影響します。
@ 許容引抜荷重
最大引抜強度は、現場での引抜試験値の80%を設計上の最大引抜強度とします。
設計最大引抜強度=最大荷重×0.8
設計最大引抜強度に対し、長期の荷重には安全率“3”、短期の荷重には安全率“2”とします。
イ)・・・長期許容引抜荷重:1/3×最大荷重×0.8
短期許容引抜荷重:1/2×最大荷重×0.8
ボルトねじ部の許容引張荷重も併せて検討する必要があります。
ロ)・・・長期許容引張荷重=Ft1×AS=11760N (1200kgf/cm2)×AS
短期許容引張荷重=Ft2×AS=17640N (1800kgf/cm2)×AS
Ft1:1200kgf/cm2 (長期) ボルト許容引張応力度(SS400)
Ft2:1800kgf/cm2 (短期) (日本建築学会より)
AS:ボルトの有効断面積
イ)と口)を比較して、いずれか小さいほうの値をアンカーの引抜許容荷重としてください。
A許容せん断荷重
最大せん断強度は、現場でのせん断試験値の80%を設計上の最大せん断強度とします。
設計愚人せん断撞度=最大せん断強度×0.8
設計最大せん断強度に対し、長期の荷重においては安全率“3”、短期の荷重には安全率“2”とします。
イ)・・・長期許容せん断荷重:1/3×最大せん断強度×0.8
短期許容せん断荷重:1/3×最大せん断強度×0.8
ボルトが切断される場合は、ボルトの許容せん断荷重を採用します。
ロ)・・・長期許容せん断荷重=Fs1×AS=8820N (900kgf/cm2)×AS
短期許容せん断荷重=Fs2×AS=13230N (1350kgf/cm2)×AS
Fs1:900kgf/cm2 (長期) ボルト許容せん一断応力度(SS400)
Fs2:1350kgf/cm2 (短期) (日本建築学会より)
AS:ボルトの有効断面積
コンクリートが破断される場合は、イ)と口)のいずれか小さいほうの値を、アンカーの許容せん断荷重としてください。
許可なく転載・引用・複写を厳禁します