横巻き:      

 

 

 

 

 

 

 ねじ類に使用される主な材料と製造工程

 

1)ねじ用材料の分類

 

 

2)ねじ用材料(鉄線)の製造工程概要

 

 

 

 

 

 

 

  @製   銑

溶鉱炉に鉄鉱石・焼結鉱・石灰石・コークス等を加え下部より熱風を送り酸化鉄を

還元すると炭素を多く含んだ銑鉄が出来る。

 

A製   鋼

銑鉄の有害不純物等を除去し(精錬と言う)ねじ用材料としての必要な成分を得る

ため合金元素(A,Mn,Cr,Mo等)を添加する。これを製鋼工程と言う。

 

B連続鋳造

転炉又は電気炉からの溶鋼を凝固させながら下方へ引き抜きブルーム(大鋳片)を

製造する。

 

C鋼片圧延

ブルームをさらに加熱・圧延を行ってビレット(小鋳片)を製造する。

 

D線材圧延

ビレットは線材圧延工場に送られ加熱後連続的に多数の孔型のロールにて順次

細くされて所定の寸法に圧延され検査後線材となります。

 

 

 

E伸  

専門の伸線メーカーでねじ製品に適合した線径、機械的性質を得る為にさらに伸線作業により径を細くする。

製造工程の種類

 

 

 

〔伸線前にスケール落としや、潤滑性のため酸洗・石灰・ボンデ処理又はボンダリューべ処理が施される。〕

球状化焼鈍:冷間圧造、切削加工、塑性加工を容易にし、焼入れ時の不均一な変形、焼割れの発生を防ぎ、また

機械的性質を改善する目的で鉄鋼中の炭水化物を球状化する焼なまし。ねじ用のヘッダー線材は冷間加工性をよくす

るためにこの処理が行われる。

 

3)鋼の種類と性質

 

平炉または電気炉で溶解された鋼は鋳型に注入され鋼塊として製造されますが、鋼塊の鋳造の際、溶鋼中に多

量の酸素が含有されますので、出鋼前に脱酸剤を加えて酸素をできるだけ取り除く必要があります。

脱酸の程度により、キルド鋼、セミキルド鋼、リムド鋼の3つが出来上り、それぞれの内部組織も異なります。

 

キルド鋼

 

脱酸が十分なため内部に不純物が少ないすぐれた鋼です。又品質はすぐれていますが、圧延歩留りがわるいので

比較的高価につきますが、ボルトや小ねじなどの冷間圧造用の材料はほとんどキルド鋼です。タッピンねじ用材料

としては、アルミキルド鋼SWCH16Aや18Aを使用します。

SS材(JIS G 3101・一般構造用圧延鋼材)では、とくにキルド鋼、リムド鋼と規定していませんが、SWRCH(JIS G

3507・冷間圧造用炭素鋼線材)は、キルド鋼、アルミキルド鋼、リムド鋼に分け化学成分の規定をしています。

 

セミキルド銅

 

キルド鋼とリムド鋼の中間になります。

 

リムド鋼

 

脱酸が十分でないため凝固の際に気泡が生じます。これを圧延すると大部分圧着するので歩留りはよいが、とく

に内部に炭素、リンその他の不純物が残り、品質が一定しません。

品質は劣りますが圧延歩留りが良いので安価につき、圧造ナットの材料に使用されます。

※製鋼法が連続鋳造法により近年はキルド鋼、セミキルド鋼、リムド鋼の相異が急速に失われつつあります。

 

 

主なねじ用材料の性質と用途

 

@   一般用構造用圧延鋼材 (J1S G 3101-1987)

 

SS材と呼ばれるもので棒鋼、バーインコイル及び線材です。棒鋼は熱間鍛造用のボルト、ナットとして、また冷間

引抜によって丸または六角のみがき棒鋼として切削ボルト、ナットを製造します。材質はリムド鋼、セミキルド鋼、

キルド鋼いずれでもよい。

 

A軟鋼線材 (JlS G 3505-1980)

 

強度にばらつきがあるなど品質的に高度を要求される冷間加工用には不向きとされる。JIS規格では木ねじの場

合のみで、それ以外は殆んどSC材かSWCH(JIS G 3539-1988、冷間圧造用炭素鋼線)の使用が推奨されて

います。

 

B  冷間圧造用炭素鋼線材 (JlS G 3507-1991)

 

規定でリムド鋼6種類(SWRCH 6R〜17R)、アルミキルド鋼10種類(SWRCH 6A〜22A)、キルド鋼21種類

(SWRCH 10K〜50K)について夫々の化学成分を規定してます。冷間圧造用炭素鋼線(JIS G 3539-1988)

SWCHはJIS 3507に規定した線材に基いてボルト・ナット・小ねじ用に造られた規格です。

 

C機械構造用炭素鋼 (J1S G 4051-1979)

 

SC材と呼ばれているもので、棒材は加熱鍛造ねじ用に、棒鋼またはバーインコイル冷間引抜によって切削ねじ用

に、線材は冷間圧造ねじに使われます。JIS規格ではキルド鋼塊から製造することが規定され材質は均一です。

又原則として熱処理して使用されます。(熱処理を要求されるねじに使用)

 

D  クロムモリブデン鋼 (J1S G 4105-1979)

 

SCM材と呼ばれているもので、クロム鋼より焼入性がよく、焼戻しに対する抵抗がすぐれ、かつ機械的性質がさら

にすぐれ靱性が高いので、自動車部品・六角穴付きボルト・六角ボルト・ナット等に使用されています。キルド鋼

塊から製造されます。

 

E   ニッケルクロムモリブデン鋼 (JlS G 4103-1979)

 

SNCM材と呼ばれ、構造用鋼中最もすぐれた鋼材です。ニッケル、クロム、モリブデンの添加によって焼入硬化性

が一層大きくなり、靱性が高いのが特徴です。キルド鋼塊から製造されます。六角穴付きボルト用にJIS規格で

はSNCM240が規定されています。

 

Fクロム鋼 (JlS G 4104-1979)

 

SCr材と呼ばれ、機械構造用炭素鋼に0.90%〜1.20%のクロム0.6〜0.85%のマンガンを添加して焼入性を改良し

たもので自動車部品等に使用されます。キルド鋼です。

 

G高温用合金鋼 (JlS G 4107-1994)

 

高温で使用される圧力容器、バルブ、フランジ及び継手に用いる合金鋼ボルト材です。

靱性:粘り強く衝撃によく耐える性質をいい、弾性限界をこえても容易に破断しない性質を意味する。