ねじの規格について
1)国際的な標準化への歩み
1841年(天保12年) ウィットねじ(イギリス人のウィットウォースが開発)ねじ山角度55度のインチねじ。
1864年(元治元年) セラースねじ(アメリカ人のセラースが開発)→アメリカねじ、ねじ山角60度のインチねじへ発展。
1894年(明治27年) SFねじ(メートルねじ)フランスで最初に制定
1898年(明治31年) フランス、ドイツ、スイス3国の協議でSIねじへと発展。
1926年(大正15年) ISAが設立。
1940年(昭和15年) ISAメートルねじが制定(初の国際規格)
1947年(昭和22年) ISA規格廃止されISOが設立。
1948年(昭和23年) アメリカ、イギリス、カナダの3国が軍事上の必要から、現在のユニファイねじ制定。
2)わが国での標準化への歩み
1921年(大正10年) 日本標準規格(JES)が制定
1924年(大正13年) メートルねじ第1号がJES規格第13号として制定(メートル並目ねじ)。その後、メートル細目ね
じやウィットねじ第一号、ウィット細目ねじ規格化。
1937年(昭和12年) 日華事変ぼっ発。
1939年(昭和14年) 臨時日本標準規格(臨JES)が制定。
1945年(昭和20年) 戦後、工業標準調査会が設置され、日本規格(新JES)が制定。
1949年(昭和24年) 6月1日日本工業規格(JIS)が制定、これと共にJES規格、臨JES規格をJIS規格に移行す
る作業が続く。JISにユニファイねじが加えられる。
*JIS規格が制定された6月1日を、ねじ業界の一層の発展を願い「ねじの日」と定められる。
1952年(昭和27年) メートル並目ねじおよびインチ並目ねじの規格が制定。
メートルねじ、ウィットねじ、ユニファイねじの3本立になる。
1965年(昭和40年) ISOねじが導入される。
一般用にはISOのメートルねじ、ユニファイねじは航空機その他に必要な場合に用いるように
改められた。
1968年(昭和43年) ISO規格メートルねじを採りいれてウィットねじは3月限りで廃止された。
工業標準調査会でJISをISOに整合する作業が続けられている。→現在
◆ISOについて
ISOとは正式にはIntemational Organaization for Standardization (国際標準化機構)の略式で1947年(昭和
22年)に設立され、国際規格案を専門的な立場で審議する委員会(略称TC)が沢山設けられ、設置された順に
一連番号で呼びます。ねじ関係はTC1とTC2があり、TC1はねじ基本に関することを、TC2はボルト・ナットその他締
結用部品に関することを審議します。
ISOねじのマークとして、ねじ頭にホンチングマークがついている。(小ねじの場合)
3)メートルねじの部品等級(ねじ精度)の表し方(JIS B 0209、JIS B
0211)
わが国では、メートルねじの等級として1,2,3級が規格に定められ使用されてきましたが国際標準化機構(ISO)で
定めた等級(ISO等級という)が、1982年に規定され在来の等級(1、2、3級)は将来廃止されることになりました。
一般用のねじは、これまでは2級ねじが多く用いられてきましたが、改定されたJIS即ちISOでは、めねじは6H(大文
字)おねじは6g(小文字)を用いるよう推奨しています。
@有効径、内径、外径の基準寸法を基準値として、めねじ側はG、Hおねじ側はe、g、hの公差位置をきめていま
す。
AlS0等級は公差のグレードを表す数字と公差位置を表す文字をその順に並べて示す。
B等級の表し万
例2) 5g6g:5gは有効径に対する等級、6gは外径に対する等級。
例3) 6H:有効径及び内径の等級が同じ場合(めねじ)。
6g:有効径及び外径の等級が同じ場合(おねじ)。
例4) 6H/6g, 6H/5g6g
めねじとおねじを組み合わせた時の表し方。
めねじの等級、おねじの等級の順に並べ、その間に斜線を入れて示す。
C等級の対応表
4)ねじ部品の部品等級(仕上程度)の表し方(J I S B 1021)
ねじ部品には、ねじ部をはじめ各部の寸法精度に応じ、A、B、Cなどの「部品等級」があります。
ねじ部品:小ねじ類、ボルト、ナットなどのように、ねじ山をもった機械部品をいいます。
備考:部品等級は製品の品質の水準に関係するとともに公差の大きさにも関係し、部品等級のAはBよりも、BはCよりも総じて厳しく
FはAよりも厳しい。